三日間戦争

 カゼカイフクミナゲンキシンパイスルナ

 ここ三日間、ネットゲームにはまっていた。
 ワールドオブタンクスとかいうちょっと前に流行り終わったゲームで、無料だったのでなんとなく「最近の流行はどうなってるのかなあ」と思ってPSstoreでダウンロードしてみたら面白すぎてテレビの前から動けなくなった。
 前からわたくし伏田はしょっちゅうこのように不定期に不特定なコンテンツに激ハマりしてしまうので、自分がこれからどのような状態になるのかわかりきっていた。
 もちろんハマりすぎて「あ~時間を無駄にしたぁ~もう死にたいですよぉ~」って気分になるのだ。なので今回は三日だけハマろうと決めた。この辺り大人である。
『ワールドオブタンクス』は、ごく簡単に言うと戦車で敵を倒すゲームです。(簡単!)
 三日間で22時間ほどプレイして考えたことがひとつある。

「これがぼくたちの第三次世界大戦だ」

 戦争を知らない世代である僕達が、ネット回線を通して全世界を相手に繰り広げる戦争がこれである。
 実際に死ぬ人はほとんどいないけれど(ゲームしすぎて死んだ人なら何人かいるらしい。“ゲームじゃないんだよ!”とか懐かしいですね)、「怒り」や「恨み」はそこそこリアルだ。
 世に言う「顔真っ赤状態」からの発狂、ファンメ、ボイチャでなんか叫んでるやつの狂気。
 まさしく戦争。ミニ戦争じゃないか。
 これこそが次世代の戦争体験。
 本当に戦争は虚しい、という気持ちを体験するにはちょうどいい。
 殺し合いからは何も生まれない。
 けど戦場で生まれた一時的な友情は本物!(しらじらしい)
 悲喜交交喧々諤々大和男子と生まれなば散兵線の花と散る。
 という感覚の話しから、技術的戦略的情報戦的実利主義的な思考もあって、考えてる間は忙しいのだけれど、マッチングを待っている3分間の虚無感はもうちょっとで涅槃に至る。
 ム。
 なんでわたくしは生きているのだろう、戦争!
 これが戦争かあ、なるほどなあ! 色々あるなあ!
 そしてあぐらの状態で何時間でも座っているから足がばきばきになって目が痛くて頭が痛くて肩がこってなんでこんなことしてるんだろうって何度も思うけど辞められない。
 これが次世代の戦争の恐ろしいところだ。
 この戦争は死んでも終わらない。
 画面の中の自キャラが爆発して死んでもまた新しい兵隊となって戦場を駆け巡らなければ“チームが負けてしまう”のだ。
 この思考は恐ろしい。
 さっさと辞めればいいのかもしれないけれど頭がファッキンホットになってるとループしてしまう。
 そして次のマッチングの3分間の虚無がくる。
 まあ楽しいからやってるんだけれど、そこから学ぶこともあるなあという感じ。
 3日間死ぬほどゲームしたのでもうアンインストールしていいかなと考えている。

 面白かったエピソード。

 鉱山跡地みたいなステージになって、僕様伏田はとあるチームに入って戦うことになった。
 3人チームで、軽戦車Aくんと軽戦車Bくんと中戦車伏田である。
 軽い。
 三人中二人がめっちゃ軽い紙戦車だった。
 二人が使っていた軽戦車は、敵の大砲を一発食らっただけで死んでしまうくらい弱い戦車だ。なんでお前らそれ使ってんだと思うくらい弱い戦車だ。
 伏田は神に祈った。
 祈っても負けるもんは負けるので、ちょっと遊ぼうと思った。
 ゲームが始まって、軽戦車Aくんについていった。
 この軽戦車が足も遅くて、のろのろしか動けない。良いところが全然ない戦車だ。
 しばらくすると僕の後ろにBくんもくっついてきて、会話もないのに縦隊が完成した。
 そのまま山の斜面に沿って、弱小戦車隊は進んで行った。
 野良のプレイヤーが何の相談もなく、陣形を組むのは珍しい。
 なんとなくだけれど、みんな「自分一人になったらすぐに死ぬ!」と考えたのではないかと思う。
 先頭が止まるとみんな止まって周囲を警戒した。
 足の早い伏田の戦車が先行して安全を確認してから進むこともあった。
 往く宛は特に決まってなかったけれど、三人で敵のフラッグ(敵の陣地で、ここに所定の時間内留まると占領したことになって、僕のチームが勝つ)を目指した。
 びくびくしながらのろのろ進んで行った。
 山に囲まれた敵のフラッグが見えてきた。
 敵の防衛網がこっちを狙っている――と構えていたけれど、誰もいなかった。
 僕達は再び行軍を開始して、敵の陣地に到着した。
 画面の上部に緑色のバーが出てきて、どんどん溜まっていった。
 そろそろ勝てそうだなという時に、敵の中戦車が一人、丘の上から顔を出した。
 僕達はみんなでそれを狙い撃ちにして倒してしまった。
 そのまま勝った。
 何の努力もしなかったし、悔しくもなかったし、戦争でもなかった。
 ただ知らない人達と列を組んで進み、がら空きの敵の陣地に入って、風に吹かれていただけだ。
 会話もなかったし、歓声もなかった。
 だけど、ワールドオブタンクスをやっていて、一番楽しい対戦だった。



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