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休憩イズム

「ストレス」とか「休む」ということについて書いています。
追記から見てください。


 なんだか最近、やたらストレスを感じやすくなって、自己否定的な感情や思考が頭を駆け巡ることが多かった。ここ一ヶ月くらいが特に顕著だ。原因はよく分からないが、たぶん心のケアを怠ったからだろうと思われる。このブログを始めた頃は真面目に心について考え、学習したことをそれなりに実践していたのだが、その魔法が切れたのだろう。知識も経験も、忘却曲線に沿ってみな忘れていく。ジョギングは毎日やらないと効果がないし、ご飯だって毎日食べないと意味がない。一日に8キロのご飯を食べたからといって1週間何も食べなくていいわけじゃない。
 友人にご自愛くださいという言葉を頂き、ドキッとした。やはりこの文章にストレスとか自身に対する否定的な態度がにじみ出ているのかもしれないと思った。ぼくの言葉で万が一にも誰かが心配したり、あるいはつられて厭世的な気分になったら嫌だなと思った。ぼくはぼくを癒やすためにこのブログを作った。自分が癒やされるどころか他の人をも嫌な気分にさせるなんて全然意味がない。そういう時は寝るに限る。そして早めにメンタルがよくなるように行動する。健康第一という言葉は人生の全てに適用できる。腹が痛いときには笑って話すことができないんだから、治るまではおとなしくしている他ない。

 ということで、ここ数日は回復系の行動を取っていた。
「ケアル! ホイミ! ディア!」
 けったいな言葉を口走って僕に手をかざしているのは、時々家に遊びに来る幸夏という女の人である。
 僕は床に敷いたごろごろ用マットレスの上で目をカッと見開いて胸の上で手を組んで仰向けに寝ている。回復の儀である。
「あとはなんかあったっけ。や~く~そ~う~」
「それ魔法じゃないよな。道具だよな。唱えても意味ないよな」
「ア~イ~ス~食~べ~た~い~」
「きみの願望ですやん……食っていいよ」
 疲れたようにふんっと鼻を鳴らして幸夏は冷蔵庫に向かってスイカバーを出して戻ってくる。
 テーブルの向こうの床に座ってアイスの包みを適当にひっちゃぶいてばりばりアイスを食べ始める。なんだろうか、野趣がある。
「で、なんでそんな疲れてんの?」
「原因不明なんだよなあ。仕事のストレスと、心ケア術のサボりかなあと当たりをつけてみているが」
「仕事のストレスって、別に忙しくなったりしてないじゃん。前と一緒の仕事してて急に疲れ激増なんてあんの?」
「そこが不思議なとこなんだけどさ、ストレス感じる期と感じない期のサイクルがあるんじゃないかと思うんだよな」
 実際に生きてて薄々感じていることでもある。
「ほーう。まあいいけど、しけたツラされてもあんまり面白くないし、さっさと治してね」
「なんで上からなのか分かんねーけど、頑張るよ」
 ぼくがマットレスで目を閉じて回復に専念していると、幸夏がこんなことを言い出した。
「寝てるだけだと逆にストレス溜まるらしいよ」
「ん? なんだって?」
 半分寝ていた僕は、なんだか驚いて体を起こした。寝かけているときに声をかけられると、何故か責められているような気分になる。
「今調べたんだけど、ストレス溜まってるときって外出た方がいいらしいよ。というかリフレッシュする行動をするというか、回避行動を別な行動に変えるっていうか、寝っぱなしだととにかく得しないらしい」
 ちゃんと八時間寝るのは大前提だけど、と幸夏はスマホをいじりながら言う。
 寝ているだけじゃ駄目なのか。と僕は意外に思った。寝ているのが最大の安息だと思うのだが、まあ別に鬱過ぎて布団から出られないとかじゃないし、動けるんなら遊びに行った方がいいのかもしれない。
「そーゆーもんか、なら散歩でも行ってくるかな」
「うんあたしもついてくよ」
 ということで、二人でぶらぶら散歩することとなった。
 といっても遠くに行くのが面倒だったので近所を歩くことにする。
 駅前の辺りを歩いていると、怪しい感じのインドカレー屋が見えてくる。黄色い木の壁に、でかい青色の看板。屋号はヒンディー語のカタカナ表記。通りに面した窓にはポスターが貼ってあり中の様子はうかがえない。
「なんでインドカレー屋ってこんなに怪しいんだろうな」
「やたら主張強い店多いよね。インド人センスなんじゃないの」
「センスはまあ、そうなんだろうけど。あえてこういう外装にした理由が知りたいよな。異国人であることを主張することで何か得するんだろうな。じゃないとこんな感じにしないもんな。この建物を作ってるのは日本人の業者のはずだし、その辺りにあるレストランみたいな小綺麗な感じにしても良かったはずなんだ」
「中華もそうだよね」
「そういやそうだなあ。すでに日本で店を出しているところを参考にするからこうなるのかなあ」
「ビールセット650円だって」
「ふーん」
「これって安いの? あたし酒飲まないからわかんないんだけど」
「居酒屋でビール飲むとジョッキ500円くらいだよな」
 と考えるとなんだか無性にお得感がある。
「ビールとタンドリーチキンで650円って安いよな……ああ、タンドリーチキンめちゃめちゃ食いたくなってきた! ちくしょう!」
「あたしにも食わせろ!」
 なんだろう、野趣がある。
「よし、勇気を出すときが来たな。入るぞ幸夏……!」
「おー……タンドリーチキンに釣られるとは……類は友を呼ぶって感じだ」
 誰がチキンやねん。
 店に入ると香辛料のいい匂いが漂っていて、小柄なインド人が「いらしゃいませー」と声をかけてきた。
 ビールセットとタンドリーチキンを単品で頼んだあと、壁に設置してあるテレビを見ながら煙草を吸っていた。
 店には僕たち以外に客はいなかった。
 やっぱり怪しいからだろう。インド料理屋はもうちょっと普通っぽい外観にした方がいいと思う。
 幸夏とタンドリーチキンをがっついた。大変美味かった。ビールはたぶんサッポロのだと思われてクリアな味わいだった。
 静かな時が流れた。
 社会の時間から切り離されたような、落ち着いた空間だった。
 いい店だ。
 会計を済ませて外に出る。
「美味かったねー。ちょっと辛くって変な味がして」
「美味いのか変な味なのかどっちなんだ」
「普通じゃない味じゃん、あの、香りが」
「ああ、なんて表現すればいいかわからないけど、香りがな」
「また行こうね」
「近い内に行くか」
 と言いながら僕は、ストレスがちょっとマシになっていることを発見する。
 ああそうか、外に出るってこういうことかと思った。
 自分の世界から出ればよかったんだ。

 僕が俺が私が……って、思考の基準が自分に集中し過ぎていた。
 愚かななことだ。
 自己と世界というのは、座標だ。
 自分という座標ばかり見ていたら正しい距離感を見失うにきまっている。
 疲れている時にはそれがわからない。
 だから余計に"自分"のストレスばかり気にするんだろう。
 たまにはこうして、怪しい店に乗り込んで、美味いタンドリーチキンを食ってみるべきだったのだ。




 最後まで読んでくれてありがとう。

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Comments 2

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hanaco  
No title

こんばんは。

そのご友人は多分、伏田さんがブログとかでしんどさを吐露した瞬間を覚えてて、たまたま何気ないタイミングで言っただけだと思いますよ。多分、ですけどね…笑
とにかく、伏田さんの発言で誰かが嫌な気分になってるってことはないと思いますよ。
…って、知ったような口を利いておきます。
ところで私は"ジョギングは毎日やらないと効果がない"って部分にドキッとしました。毎日は…やって…ない…
だからって効果がないならやめちゃえー!とはならないんです。やらないよりはまし。ってこともあるんじゃないかな。あったらいいなって思うんです。

どうにもインドとかメキシコとか、そっち系の人は色んな意味で主張が強いし、個性が強いですよね。笑
そのお陰でがやがやうるさいお店じゃなかったのは、もしかしたらよかったのかもしれませんね。
ビールの味でサッポロとかわかるアニキが渋い!ビールの味はお酒が飲める歳になってもわかりませんでした…
そうそう。チキンといえば、先日に彦根を通りがかった時に「チキン野郎」って名前のラーメン屋さんを見付けました。
電話した時には「はい、チキン野郎です」って言ってくれるのかな。って想像しました。(関係ない話を失礼しました)

あと、「(ブログを書くことで)癒されないといけない」って決めるのは、それはそれでしんどいと思うんで、ほどほどに癒されて下さい。笑
私も最近、愚痴をこぼすような弱い心を晒すこともありますので…
そのせいでご迷惑をかけることもありますが、その分、少しだけ楽になれます。楽になれた瞬間があります。本当にありがとう。

ではでは、また!

2018/06/06 (Wed) 02:25 | EDIT | REPLY |   
伏田竜一  
Re: No title

 hanacoさん、こんばんは。

 そうだったんですね。僕の思い込みの激しさが露呈してしまったようです。お恥ずかしい限りです。
 不快感情を抱いていなければそれで良いのですが、いや不快感情ではなく素直に好かれたいですが、「不快なのでは?」と予想してしまうのはやはり自己否定的だったからなのかなと、コメントを読んで考え直しました。

 ジョギングも別に、"毎日"やらなくても効果はありますよね。2日走って1日空けて……みたいな続け方でも、筋肉がついて基礎代謝が上がるなら一緒だなと思います。時々時間が空いてもよいけれど、継続は力なりということなのですね。

 静かなお店が好きですね。たまには賑わっているお店に行きたくなりますが、この街に住んでいると人のいない空間の方が貴重だと思ったりします。個性が強すぎるお店には人があんまりいないのだとしたら、ぼくはこれから怪しい店になるべく突撃しようかなと思いましたw
 ビールですが、大抵のお店の「生ビール」ってスーパードライかサッポロのやつだと思っていて、僕の中では二種類しかないので、サッポロだなと思ってからビールの缶をチェックしたりして遊んでいますw 今日も串焼き屋さんでサッポロでした。

 チキン野郎! 最高のネーミングセンスじゃないですか!w 鶏のダシなんだろうなあ。チャーシューじゃなくてつくねみたいなヤツなんだろうなあ。(想像)
「野郎ラーメン」でラーメン食べたことがありまして、調べたら「豚野郎」というお店もあるみたいです。日本はどうなってるんでしょうね。野郎ばっかり集めた野郎ストリートを建設して脂ぎった魅力で価値観に一石を投じたいですね。関係ない話しも大好きです。

 ありがとうございます。ほどほどに癒やされたいと思います。実際には記事よりもhanacoさんのコメントの方に癒やされていますよ。(口説きました)
 hanacoさんが楽になるなら迷惑なんて一つもないですね。どんどん愚痴ってください。僕も毎日助けられています。大変ありがたいことです。

 コメントありがとうございました!

2018/06/06 (Wed) 22:22 | EDIT | REPLY |   

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